白杖豆知識アレコレ

視覚障害者歩行訓練士 宮本治子

1 道路交通法と白杖

第14条
目が見えない者(目が見えない者に準ずる者を含む)は、道路を通行する時は政令で定める杖を携え、または政令で定める盲導犬を連れていなければならない。
第14条第1項及び第2項
政令に定める杖は白色または黄色の杖とする。
第71条
車両等の運転者は ――― 目が見えない者が第14条第1項の規定に基づく政令で定める杖を携え ――― 通行しているとき ――― 一時停止しその通行または歩行を妨げないようにすること ――― 

2 白杖の役割

安全性の確保
白杖で1・2歩前方を確認していくため、電柱、自転車など道路上の障害物、溝、段差、階段などの落ち込みを判断することにより、安全が確保される。
情報の入手
路面の変化やランドマークとなる物の確認をしたり、自分の位置、または行きたい場所の情報を知ることが出来る。
視覚障害者としてのシンボル
車の運転者、歩行者などに、視覚障害者であることの注意を促すことで、事故を未然に防ぐ事が出来る。

3 白杖の種類

(1)直杖
折りたためない杖のこと。耐久性、伝達性では、折りたたみ式よりはるかに優れているが、店内、乗物など座席に座った時の置き場所に困る事が多い。
(2)折りたたみ式の杖
持ち運びに便利であるが、つなぎ部分に弱点があり単独歩行にはあまり適さない。旅行、手引による歩行時の使用など使い分けが良い。
(3)サポートケーン
高齢の方や、下肢傷害のある方用の支え杖。直杖と長さを調整できる物がある。体を支える為の杖なので、腰までの長さになるため、単独歩行の場合長い白杖をもう一本使用する事になる。

4 白杖の選び方

歩行訓練士による訓練を受けた上で、その人の身長、歩幅、反応速度などに応じて選ぶのが望ましい。

各市町村の福祉課などで、補装具として支給されるスライド式の白杖は、長さ、安全性、使い易さ全てにおいて疑問。使用に耐えない場合が多い。

杖の種類、長さなど、初めからはっきり申し出た方が福祉課の理解を深めることにもなりお勧めです。

支給を受けたいと考えておられる方はご一報を。


5 手引者と同道の時の白杖

(1)白杖は必ず携帯する
混雑した場所などで、他の通行人の注意を促すことが出来る。
(2)段差、階段の始りと終り、電車の乗り降りなど、適宜白杖の使用可能
確認注意が必要な場面で白杖で確かめる事が出来れば、本人手引者とも安心感が大きい。

*手引者に100%安全を委ねるのではなく、自身も歩く事に何%かの責任を持つ意味でも、白杖の携行は必要。


6 白杖の使い方について

白杖の使い方は敢えて紙面では説明しません。あくまで一対一の指導が大前提だからです。

中途失明された方の中で、白杖を持つ事に抵抗感を持っておられる方は多いと思います、しかし、きちっと技術を習得されるとこれほど便利な物はありません。

こわごわ歩いていたところも、颯爽と胸を張って歩く事が出来る筈です。

ほんの少し勇気をもって、白杖を持ってみましょう。


参考文献

芝田裕一著 「視覚障害者のリハビリテーションと生活訓練」―― 指導者用テキスト ―― 社会福祉法人日本ライトハウス養成部

・目次とはじめに

・視覚リハ研究会参加感想

・便利でっせ  ――PDAの紹介――

・白杖豆知識アレコレ

・盲導犬と歩んで見えてきたもの

・平成14年度の総会と講演会の報告

・情報フォーラム


・「REVIネット情報」のバックナンバーインデックスにもどる


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