三重県では、REVIネット三重副会長の一尾多佳子先生が三重県眼科医会の理事になられたことやアイパートナーの前川さんが眼科医会で講演されたことなどで、各機関同士の風通しがよくなってきているようです。また、ロービジョンの疑似体験会を各医療機関で行っており、視覚障害に
興味を持ったり、注意を向ける眼科スタッフも増えていることと思います。
現在、病院で行っているロービジョンケアは、主に視覚補助具の選定が大部分で、他にも各関係施設やサービス機関のご紹介、便利道具のご紹介なども行っております。
では実際に視覚補助具の選定を中心にした症例をいくつかご紹介します。
視力:右0.02 左0.03(両矯正不能)
視野:両10度
主訴:本が読みたい(拡大読書器が見たい) まぶしい
経過:25年程前に網膜色素変性症と指摘される。 白内障の進行に伴う視力低下(両0.01)のため、平成7年に両白内障手術・眼内レンズ挿入術を受ける。福祉課で当ロービジョン外来のことを聞き、拡大読書器を実際に見てみたい、とのことで来院。テーブル型、スキャナ型など3種類の拡大読書器を試した結果、テーブル型(ナイツVS1500)を選択し、申請手続きを取る。まぶしさについては、現在使っているサングラスと大差なし、とのことで遮光眼鏡の処方には到らず。まぶしさの原因として後発白内障の影響も考えられ、主治医に後発白内障に対するレーザー治療の検討を依頼する。
視力:右矯正0.08 左指数弁(矯正不能)
主訴:新聞が読みたい まぶしい
経過:平成4年頃より糖尿病に罹患。平成10年に糖尿病網膜症を指摘されるが、放置。(当時視力 右1.0 左0.03)
その後、視力右0.03 左光覚に低下、平成12年に右硝子体手術、白内障手術(眼内レンズ非挿入)を受ける。
ロービジョン外来にて、遮光眼鏡を試用。まぶしさのために単独での歩行は困難だったが、遮光眼鏡により単独歩行が可能になり、サイドフレーム付き遮光眼鏡(イエローグリーン)を処方。
新聞の本文も、12ジオプターのルーペで読み可能となり、コイル社のハンドルーペ(4倍)を処方。
視力:右0.07(矯正不能) 左光覚
視野:右中心暗点
主訴:読書がしたい、店などで商品の価格が見たい
経過:平成6年頃に加齢黄斑変性症と指摘される。その後次第に視力が低下し、読書ができなくなったことでロービジョン外来を紹介される。用途によって使い分けたいとのことでさまざまな種類のルーペの中からいくつかを選択。
読み書き用に卓上型ルーペ(8倍)、携帯用に小型ポケットルーペ(10倍)、いろんな場所で使うために手持ち型ルーペ(10倍)を処方。
このほかに、駅で時刻表や標識が見えないとのことだったので、次回単眼鏡を試すことになった。
このように患者さんの病態や訴えによって視覚的補助具を選定していきます。このような道具を使用することで、これまでの不可能が可能になることもあります。
県内でロービジョンケアに取り組んでいる病院はわずかで、ロービジョンケアの存在を知らない方も多いと思います。どの医療施設でもロービジョンケアの存在・必要性を知ってもらうことは非常に重要なことです。
各医療機関や関係組織の今後の動きに期待したいと思います。
毎週木曜日 完全予約制
・かかりつけ眼科医の紹介状要
・かかりつけ医がない場合:大学眼科一般外来 要受診(月火水金)
Tel 059-232-1111(代表)
059-231-5133(眼科外来直通)
毎週水・木曜日 午後 完全予約制
・かかりつけ眼科医の紹介状要
・かかりつけ医がない場合:当眼科一般外来 要受診(月火水木金の午前)
Tel 0598-21-5252(代表)
0598-21-8326(眼科外来直通)