訪問による視覚障害リハをすすめているアイパートナーの前川賢一先生、実は、3年前から盲学校の授業にも協力している。
今回は、この取り組みについて前川先生に聞いてみた。
小中学部では、それぞれの子どもの実態に応じて、さまざまなトレーニングを行う。将来、白杖をもって歩くための「基礎的能力」を育むのが目的。
例えば、足の裏の感覚を高めるために、裸足になって歩いてみる。暖かい冷たい、足の裏で触るという経験が、白杖歩行の基礎になるとのこと。また、何気ない棒きれを使ってみたら、ものにぶつからなかったという場面を作りだしてみるのも、歩行訓練士ならではのはたらきかけかもしれない。
前川先生は、子どもたちとの関わりについて、「たのしい。これは、もう、びっくりしました。子どもたちの能力の無限さを目の当たりにしました。変わり方がすごい!!」と語る。
大人の生徒さんには、「せっかく学校に来ているのだから、ためしに受けてみようかなという感じで、気楽に受けてほしい。」
「居住地域ではなく、学校だから、みんなといる集団の場だからこそ、できることがあるのではないか?」と、前川先生は、力強く語る。
ただ、訓練は、本格的だ。学校の指導でも大切にしているのは、基礎基本。
「杖を持つこと、正しい姿勢で正しくふること。そこをおざなりにすると訓練が長引く。」優しい語り口の中にもきらりと光るプロとしての厳しさを感じた。
前川先生が、盲学校に関わりはじめたのは、3年前から。当初1年目は、2週間に4時間であった。現在は1週間に4時間の授業に関わっている。地道なとりくみが、認められたということではないだろうか。
担当する児童・生徒は、前述のように小学部から高等部まで、年齢層だけでも幅広い。実態に応じてさまざまな授業支援を行っている。
さらに、盲学校で行われる各種研修会や公開講座の講師もつとめ、視覚障害リハビリテーションについて、入門編から実践的な指導まで、確かな知識と技術の普及にも余念がない。
実は、盲学校外の視覚障害専門職員との、このような連携型のとりくみは、全国でもめずらしい。今後、どのように展開していくか、注目されるところである。